春陽

千理は特に番組を合わせる事無く、テレビをつけながら考える。


自分はこの先どこまで彼女を救う事が出来るのだろうか…

彼女は自分の存在をどう受け止めて居るのだろうか…

彼女は…自分の節介に拒否出来ないだけではないのか…


相手が未成年というだけで何故か千理には未知の領域だ。


考えながらふとテレビに目をやると、既にニュースの時間帯になっていた。


事故、政経、話題、事件…ありとあらゆる情報が短期間に簡潔に入ってくる。


一つ一つ取り上げれば感情も沸き立つ話題なのに、あまりに簡潔にあっさり終わり次の話題に行くものだから、何とも味気なく淡々と過ぎてゆく。


そんな些細な事にも、千理は少し切なさを感じた。


『先日未明、女子校生が何者かに暴行される事件が起きました。容疑者はまだ捕まっておらず、近く強姦傷害事件として容疑者を逮捕……』


直後、千理の後ろでドサッと物音がした。

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