春陽
こんな温もりは優里は知らない。
本当に辛い時に包んでくれる優しさを初めて知った気がした。
両親の気遣いとはまた違うそれに、優里は戸惑う事無くすんなりと受け入れる。
素直になれると思った瞬間、まるで今まで零度だった心臓が急に温度を取り戻したかのように、
胸が熱く締め付けられ…軋み出した。
「…あ…うぅ。ごめんなさい…私…ごめんなさい…」
千理のシャツを握り締め、優里はただ縋りつく。
さっきよりも熱い涙と心葉を零して。
千理は優里が落ち着くまで…何も言わずただ髪を撫でながら抱き締めていた。