春陽
「おい、今月はもう遅刻するなよ!」
と、要はこれが最後だと言わんばかりにキツく言ったはずなのだが
「分っかりました!気をつけます!いやぁホントすんません!」
響いてきたのは危機感とは縁の無い、少々間延びした楽観的な声。
「はぁ…あいつも分かってんのか、もう…名前負けしてるぞ…あぁ、今月も薬代が…」
頭を抱える要に千理は不注意にも少し微笑んでしまった。
その千理に、原因の優秀が仕事の一件で話しかける。
「あ、向井、この案件だけどさ…」
千理の忙しい1日は、優秀の一声と共に始まった。