春陽
帰り道に
「それにしても、君があんな所に居るなんて思わなかったよ。」
灯りが点いて、すっかり暗くなった歩道を2人は歩いていた。
「私もです…。びっくりしました、ホントに…。」
再び起こった偶然に、2人は不思議な物を感じていた。
「あの高台、よく来るの?」
行き来する自転車を交わしながら千理は聞く。
「…小さい頃から知ってましたが…通うようになったのはつい最近です。あの…星が綺麗だから…よく行くんです」
まだ少し俯いたままの優里。器用に自転車は避ける。