春陽

「あー、まーた深刻そうな顔しちゃって…もう大丈夫だって」。

歩きながらくしゃっと撫でられた頭。突然の事に優里は面食らった。


「あっ…えっ…」


頭に手を置きながら、千理は出来るだけ優しい笑顔を作り優里を見つめた。

「俺はもう大丈夫だからさ。ありがとう」。

少し見透かされたような返事に、優里は一言

「すみません…」

と謝るばかりだった。