春陽
「もう少し?家」
また少しずつ歩きながら聞く。
「はい、そこを曲がった所です。」
四つ角を左に曲がり、家の前まで着いた。
「ここです。このクリーム色の壁の家」
築10年のまだ新しい感じがする家。
ふと優里は駐車場を見た。…車が無い。
灯りは点いている。
親は居ないが兄は居る…と言うことだ。
もしくは電気を点けっぱなしのまま出掛けたか…。
優里は出来る限り、今この状態で兄に会わないように願った。