春陽
家に着くとネクタイを緩め、コーヒーメーカーのボタンを押す。
スーツをハンガーにかけ、そのままバスルームへ直行。
湯上がりの一杯は出来立てコーヒー。
もうこれは千理の日課になっていた。
でも今日はいつもと違う。
千理の頭の中には切ない表情の少女が一人、立ちすくんでいた。
ベッドに入っても同じ。
こんなに胸を掻きたくなるような夜は久しぶりだった。
せめて安らかな眠りを…
少女の為に願ながら眠りに就いた。