春陽
「おはよ、朝早いね」
その声に優里はビクっとした。そして俯いたまま返事をした。
「おはよう…ございます。向井さんこそ、早いんですね」
伏せたまま挨拶をする優里に、
千理はからかい半分に優里の顔を両手で包み、自分の方を向かせた。
「んもう、挨拶の時は目を合わせなきゃ……な、え?」
「あつっ…」
優里の頬には赤黒い痣が出来ていた。
生易しい力では無く…きっともっと強い力で付けられた痕。まだ新しい。
ほぼ間違いなく…男だろう。