春陽

アザがつきそうな程の力強さが腕に伝わり、優里は急いで後ろを振り返る。


「はぁ…はぁ…何してるんだ…?」


腕を掴んだ男は、呼吸の荒いままそう言った。


「あ…あ…」


目が合った瞬間にいきなり現実に引き戻されたからか、頭が真っ白になり怯える優里。


あまりの怯える様を気の毒に思った男は優しく、笑顔に努めて聞いた。


「…大丈夫?」

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