春陽
カヴァレリア・ルスカティーナ
きっといつもの優里なら弾かない。
ただ、傷ついた母と…兄を思った。
弾き終えると…
良い香りの漂うミルクティーを両手に、恭平がこちらを見て微笑んでいた。
「ぎゃ。見てたんですか…」
あまり身近で聞かれたくなかった優里はこっそり恭平を睨んだ。
「あぁ、ついね。はは」
「できたのなら先に言って下さいっ」
「ごめん、つい…な。君がこんな壊れ物を包むような…まぁ繊細な演奏するとは思わなかったから」
少し笑みを浮かべながら話す恭平の一言に優里は素でムッとした
。
「なっ!どういう意味ですかっ!」