春陽
待ちぼうけ
昼になっても優里は眠っていた。
「倉科さん…倉科さん…。参ったな、起きないよ」
苦笑する小夜。さてどうしようか。
―ガラッ。
考えて居ると保健室のドアが開いた。
「失礼します、二組の小林です。倉科さんの様子を見に来ました」
穏やかな様子の小林亜紀が来た。
クラスメイトだからか、昼を知らせに来たようだ。
「あ、まだ寝てるよ。少し具合が悪いみたい」
「…そうですか、今日は午前授業なので倉科さんの鞄を持ってきました。私のノートのコピーを入れたと伝えて下さい」
心配そうな様子の亜紀だった。
「ありがとう、優しいんだね」
無意識に出た何かの口説き文句のようなセリフに顔を赤らめながら…
亜紀は一礼して職員室を出たのだった。
「さて、眠り姫様…。こりゃキスでもしないと起きないかな」