秘密の彼氏


「あっ...きき、き、岸上さんっ!!」





拭石の声なんて耳に入らない。



嘘だ!
人ってメガネだけでこんなに変わっちゃうもんなの?!

...だってだって!
拭石って、髪の毛は無駄に長くて気持ち悪いし、

このメガネだってどこに行けばこんなの売ってるの?って程ダサいし....

制服だってボタンは一番上まで閉めて、最悪な着こなし方。

性格だってウジウジしてて暗くて・・・




....その拭石が―――・・・?!?!



「あの、あ..の......」



「あ」


拭石の声で我に戻る。


「大丈夫?拭石くん!はいっ!これメガネ!」


「あっ、あり、あありがとうございます」



さっきまでの気迫はどこへやら。

すっかり強気で言葉だけはかっこいい拭石はどこかに消えてしまったらしい。


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