秘密の彼氏


「なんだよ拭石テメぇ。もうちょっとでキスだったのに」

「やられてぇのか?」



わ...
こうしてみると、やっぱり先輩達怖い...


「やりたいならやってみろ!!!」


先輩達に負けないくらいの気迫で拭石はそう言った。



「..面白いヤツ。」



フンと鼻で笑って先輩が手をコキコキと鳴らした。



さ、流石にヤバくない..??



「ぬ、拭石くん,だいじょう....」



「岸上さん、下がってて。」

優しく誘導されて、あたしは拭石の後ろへ。



...こ、この台詞もドラマで聞いたことある!!

これは――・・・

見かけによらず、拭石って..拭石って!!!!!



「いくぞお」


一人の先輩が拭石に向かって走ってきた。


..拭石のうっとうしい長い髪が揺れる。



―――ドガッ......



鈍い音。

反射的に目を瞑ってしまった。

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