【冬】クリスマスナイト 〜ある少年の奇跡物語〜
「またね〜!!」
シュリは機嫌よく僕に大きく手を振る。
僕もシュリに軽く手を振ると、ドアの手すりに手をかけ、家に入った。
「ただいま。」
家に入ると、いつもと変わらない殺風景な部屋が嫌でも目に入る。
その光景に今日二度目のため息をついた。
すると、二階へ続く階段からドタドタと慌ただしい足音が聞こえた。
二階から降りてきたのは僕の母さんだった。
「あら、おかえりなさい。果物買ってきた?」
「あぁ、果物屋のおばちゃんが今日はクリスマスだからって、いっぱいサービスしてくれたよ。」
僕は母さんに果物の入った紙袋を渡す。
「まあ、こんなに!!
今日は果物パーティーね」
母さんはそう嬉しそうに笑うと、紙袋を抱き、早速台所に向かった。
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