だから、笑え
「朝からカリカリすんな。うるせー」
カーテンさえも遮れない朝日に、愛しい女が俺を恨めしそうに睨む。
「今日という今日は許しません!!」
いや、全然怖くないがな。残念だ、むしろ可愛いぞ、おい。
「…じゃ、どーすんの?」
俺は、日和の腰に腕を回す。相変わらず細っころくて、片手だけで引き寄せられる。
「ひ、ひゃっ」
日和は驚いた様に小動物的な声を上げて、また俺を睨んだ。
「や、やめて下さいっ!!」
赤く染まる頬。黒目がちな瞳が潤んだように俺を見つめる。必死で拒む腕もそれが精一杯なのかと問いたくなる位、非力だ。
「やめない。で、どーすんの?」
俺は意地悪く笑って日和の耳元で熱っぽく、小さな声を落とした。