スターチス
__prologue.
「ねえ、今日転校生来るんだって」
クラスメートの女子のやけに大きい声が聞こえた。
入学式を終えてまだ一週間。今の時期に転校してくる奴が気になるのかクラスが一気に騒めいた。クラスメート達はどんな奴なのか、男か女か勝手に話している。俺は別に興味がないので、話し掛けてくる名前も知らないクラスメートに適当に相槌を打って机に伏せた。
今日は日差しが暖かく瞼が自然に落ちてくる。
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「××市から来ました山下和咲です。よろしくお願いします。」
無難な言葉を並べた挨拶にクラスメート達はぱちぱちと拍手を送る。俺はただ転校生を観察していた。
漆黒の髪は長く腰まである。肌は青白く手足は細かった。まるで病人のよう。しかし、彼女の笑みは暖かく花が咲くように美しかった。
「では、山下は濱田の隣の―――。」
まだ眠気が残っていたのか意識が遠退く。
沈みゆく意識のなか山下と目があったような気がした。
___Prologue end
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