ヴァンパイアの花嫁 番外編②
ティナはシンシアのナイフを避けようと無我夢中で身体を動かした。



身体を動かすたびにドクドクと血がドレスを濡らしていくのが分かる。



そして周りのバンパイアの嗅覚にも鋭く甘く芳醇な香りがつく。



「本当によだれが出そうなくらいに美味しそうな香りだこと」



アードルフがこの誘惑に負けてしまったのも頷ける。



わたしもあの傷口に唇をつけたい思いと葛藤している。



この女が死ねばアードルフがヴァンパイアの世界の支配者になる。



そしてわたしは支配者のNO2に。



幾分、色の無い唇の口角が上がる。



シンシアからほんの少し逃れたティナは肩で荒い息を吐いていた。



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