ココアが欲しいの【季節短編】
なんだか眩しいようなその笑顔にアタシは「分かった」と答えた。
というか答えるしかなかった。
どうしたの、アタシ?
「じゃ、また年を越してから。またね、よいお年を」
そう言うと彼は自転車に乗り、真っ白な雪の遠くへと行った。
アタシはただぼーっとその後ろ姿が消えるまで見つめていた。
よいお年を、か…
そして気づく。
そうだ、早く帰ってコタツでみかんを。紅白も見ないとな。
そう今日は今年最後の日だった。