嘘つきな姫
two
「起立…気を付け…礼」
「おはようございます」
「おはざーす」
「はーっす」
間に合った
ギリギリだったが息も切らさずに号令をかける自分がつくづくイヤになる。
「……おはよう」
隣の席から聞き覚えのある声がする
「おは…………ぁ」
いつも通り、キラキラスマイルを向けて振り替えると
「朝の…」
朝の彼、愁くん?だっけ?
「うん.おはよう」
「…おはよぉ」
やっぱりいつもの笑顔で返事をすると…
ジィ
「?」
な、んかめっちゃ見られてる…
見透かされる…
しばらく私を見ると
「さくら」
そういって私の緩く巻かれた髪先に手を伸ばす
ドキッドキッ
鼓動がうるさく跳ねる
「ほらっ」
桜の花びらを摘んで頬笑む彼はやっぱり春のお日さまみたいだなっておもった。
「ついてた?」
朝から!?
は、恥ずかしー
「今、舞ってきた。」
と私の奥の開いた窓を指差した
「あ、よかった……」
「?」
ほっとする私を不思議そうに見たあと担任の出席をとる声に
「はーい」
と欠伸まざりな返事をしていた。
彼の名前は
早川 愁
というらしい。