嘘つきな姫
愁は私もゾクッとするぐらいニヤッと笑った
あっという間に失神させると素早く柱に縛り付けた
―スゴい…
なんて言うか…さっきまでより更に冷たくて怪しく鋭い目つき。
―殺しそう―
ホントにそんな目つき
「…っ…」
たまに苦しそうに眉を寄せる
さっき、クスリは効いてた
なのに、どうやって…
さっきの薬はなんだったんだろう
「彩莉」
―ビクッ
「ははっ、恐がらせちゃったかな?ごめんね?」
「あ、愁……」
愁はいつもの笑顔でそこにいた
いつもと違うのは…上半身は痣だらけで血が滲んでいる肩には刺されたような傷から血が流れている
え?
肩にさし傷なんてあったっけ…
「彩莉、傷痛む?ごめんな…」
え?
何で謝るの?
私の肩なんて浅い切り傷で…血もとまってるし
なのに、
愁は肩の傷から溢れんばかりに血が流れている
「愁ぅ…愁の肩が…っ……」
「ん?」
愁は私の肩紐を結びながら横目で自分の肩を見た。