嘘つきな姫

「あぁ、これ?」


暖かいものが頬を伝う



「さっきは無かった…」


私が言うと少し困った顔をして、


「ほら、何か刺されただろ?麻酔みたいだったんだけど、違うぽかっから、“痛み”で目を覚ますために自分でガラスの破片刺したんだよ。」



は?


「うそ……なんで……っ」


信じられない


「だってさ、彩莉が……」


「ぇ…?」

私?


「泣いてたから」



―ドキッッ




「それと、彩莉…何でもするとか言っちゃうし、ヤラれちゃったらどーすんの、」


や、ヤラ……


た、確かに


「で、でもっ」



「ヤだから、目の前で好きな子泣いてんのに…俺は何寝てんだ!?ってね。」


いや、薬で痙攣、麻痺させられてたじゃん。


って好き?



好きって、えっ


「ほんとぅ…?」



「うん。」



いや、そんな平然と言われると逆に恥ずかしくなる


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