嘘つきな姫
「和、連絡は?」
「したよ、親父さんに、」
「さんきゅ」
「あれ?愁が“早川愁”の顔になってるー、そーとー怒らせたんだなぁ、アイツ」
と縛られた“霧谷ケンジ”を哀れむように見たあと
「愁、程々にな。」
「ん。」
「愁――――――」
倉庫に響き渡った低い声
「あ、父さん、」
この年代の男子は親父と言うのにかわって父さんと呼んだあたり、品の良さが出ている
「おー、愁、なんだ、傷だらけだなぁ……ははは、」
いやいや、はははっって。
心配しないの?
ってゆーか、若いね、お父さん
「違法ドラッグか何かを射たれましたが、今は平気です。」
えっ。
あれって
違法ドラッグだったのっ!?
だから、あんな……
「うむ……」
愁のお父さんは一瞬難しい顔をした
確かに、違法ドラッグはマズイよね。
「――で、守れたのか?守りたいものは、」
「ええ、」
えっ。
愁と目が会うと、おいで?といっている。
「この子が、か?」
愁のお父さんは私をジィと見つめる
「あ、あのっ…夢水 彩莉と申します。」
「あ、俺の彼女です。」
と愁が付け加える
か。彼女……/////
て、照れる////
愁のお父さんは
真っ赤になった私を見て可笑しそうに笑うと
「いやぁ…実に可愛らしいお嬢さんだ、愁には少しもったいないな…。」
「とうさん!」
愁は私の肩に乗せられた“お父さん”の手を払うとクイッと自分の方へ引き寄せた
「ははは、あ、失礼。私は愁の父親の境(きょう)だ。宜しく、彩莉さん。」
「は、はいっ」