嘘つきな姫
すると愁が一歩手前に出る
―コンコン
「愁です。彩莉をつれてきました。」
「入っていいぞ。」
「失礼します」
私をリードしながら中へ入る
いかにも“書斎”と言う感じの部屋だった。
「彩莉ちゃん…だよね?」
「は、はい。」
愁に怪我さしちゃったの謝った方が良いかな?
「彩莉ちゃん…本当に申し訳ない…」
「え?」
拍子抜けをくらった
だって、私、謝られるようなこと…
「実は霧谷は昔我社が潰した会社でねケンジはそこの息子だ。こちらの事情でキミに怖い思いさせたうえ怪我をさせてしまって…」
「い、いえっ…愁…は私を助けてくれました…それにっ」
怪我なら愁の方が…
「当たり前だ。な?愁。」
「はぃ。」
「彩莉ちゃんの右肩の傷は医者に看てもらったから」
「そんなっ!たいしたことないですのに…」
敬語がおかしくなってしまった。
「跡でも残ったら大変だ。あ、お母様にはこちらから……」
「あのっ…母には言わないで下さいっ、心配させたくないので。」