嘘つきな姫
「ありがとうございます。では、今日はコレで。」
しっかりとした口振りの彼に「そぅ?」と引き止めれなくなる母親、
ここに来てから思っていたのだけど…
愁が違う人みたい…
普段より大人びた表情に壁と恐怖を感じた。
そぅ。
私は何も知らない。
愁のコトを何も知らないのだ。
「……り?…彩莉?」
「っえ!?」
気付けば心配そうに覗き込むドアップの愁
顔が赤くなっていくのが解った。
「彩、愁くんを送って、」
呆れ果てたように促す母親に
はいはい、と軽く返事をして玄関に向かう