嘘つきな姫

門を出て10メートルくらい歩いた曲がり角で愁は立ち止まると

「…ここまででいいよ、」

そういって振り返った


「いや、でもっ」


お母さんにおくってけって言われちゃったし…



私が一人困っていると、





「彩莉になんかあったら困るから」



と、

頭に置かれた手



ぅ……

「……何かって?」


変な質問をしてしまったぁ
本当はここで別れるのがいやだったり。

そんなこと言えないけど…

「んー…例えば…誘拐…とか?」



ドクッ…!

グッと近付けられた顔に心臓が跳ねる


ゆ、ゆうかいッ!!



「ゆっ、…ないでしょ…っ」

「えー…」


んーっと考える表情の後、今度は耳に近付けられた顔

「ぇ……ちょっ?」


耳にかかる息が何とも言えないくすぐったさで…

鼓動がどんどん早くなっていく
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