嘘つきな姫
「宏和、早くしないと遅刻だよ?」
「……」
「お父さん、お母さん、おはよう」
「「おはよう」」
二人とも手を止めて私を見る
既に制服に身を包んだ私は[優等生]家でさえ、そのレッテルを剥ぐことが出来ない
でも、終始笑顔を絶やさない
昔、言ったことがある
―ままっ?あや、ずっと笑顔でいるから。可愛く笑ってるから―
―…だから、あやのことも見て?―
宏和が体操で優勝した日、
私の声は…明るく騒ぐ三人の声にかき消されてた
―ドンッ
考え事してたからっ
誰かにぶつかって……
「っきゃ……痛……」
くない…
「……大丈夫?」
私の下にはヒトがいて事もあろうか…私を支えていた。