この腕の中で君を想う
ガタンゴトン
ガタンゴトン
ゆっくりとした上下の揺れが心地よい
たまには電車も良いかもな…
俺は座椅子に身をあずけると、窓の外へ視線を移した
車で見る景色とはまた違った様子なのがなんだか新鮮で
何をするわけでもなくしばらく外の景色を眺めていた
――――――――……‥
ピーーー
電車が最寄りの駅で停車し、ゆっくりとドアが開く
それと同時にどっと人が押し寄せてきた
最悪だ…
気がつけば電車内は人でいっぱいになっていた
いわゆる満員状態
一気に電車内の温度が上昇し、座っている俺は周りに必ず一人はいるであろう汗だくの太った中年男に対して少なからず嫌悪感を抱いた
俺もいつかはあんな風になるのだろうか…なんて
絶対嫌だ
想像してしまい思わず身震いをする
気を紛らわそうと思い携帯を開こうとしたとき
『痛っ…』
タイミング良くか細い声が上から降ってきた