この腕の中で君を想う
それから俺達はしばらく他愛もない会話をおもしろ可笑しく交わしながら料理をつついていたら
タッ…タッ…タッ…タッ…
階段を下りてくる音がしてきたかと思えば
ガチャンッ
ゆっくりとドアが開いて
「美里さん。お風呂ありがとうございます♪」
弾むような声でお礼をいう誰か
声が高いから女だろうな…なんて、興味がないから見向きもせずに煮豆をつついていた
「はーい♪湯加減大丈夫だった?」
「バッチリでしたよ~♪あ、隆也さんお邪魔してます」
話を振られた隆也はその子を見るなり、軽く手をあげて口元を緩めた
「おぅ、美里から聞いてるよ。まりちゃんどうせなら料理つまんでいくか?食べて無いだろ」
まりはうーんと唸って考えこんでから、隆也を見てニヤリと笑うと
「…食べたいですけど、酔っ払いのおじさんの相手はしたくありませんよ?」
「へっ?」
隆也は最初ポカーンと口を開いていたが、すぐに声をあげて笑いだした
「まりちゃん毒舌ぅ♪」
増田も愉快そうにケラケラ笑っている
俺は…相変わらず豆をつついていた