この腕の中で君を想う



「…まだ足りないか?」


白山は目を細めてからかうような口調で言うと、滑るように頬を撫でた


大きな掌から伸びる細長い指

触れられた場所がさらに熱を持ち始める


「…そんなこと」


あるわけない


そう言いたいのに

次の言葉に詰まってしまう




「……ッ」


代わりにポタリ…ポタリ…と目から涙が零れ落ちてきた


「おいおい…今度は泣くのかよι」

大きな溜め息をついて「ほんと…面倒臭い奴」と呟きながらも私が落ち着くまで頭を撫でてくれた


 
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