この腕の中で君を想う



「ククッ…お前顔真っ赤にするの好きだな」

そんな私の思いはつい知らず、奏斗さんは私を見てくぐもった笑い声をあげた


「好きでこうなった訳じゃないです!!」



奏斗さんの意地悪!!

増田さんまだ着かないんですか!?


「もう♪~少しで~つ~く♪」

「………」


自然と溜め息が漏れた


…曲に乗せながら言わないで欲しいι


「もうッ!!真面目に聞いて下さい!!」



「そんなにカリカリしないの。折角の可愛い顔が台無しだよ?」

「かっ…かわッ!?///」

ニコッと先程も見た爽やか笑顔を浮かべる増田さんに冷め始めていた熱が再び上がる


ギャップって…凄い


「あ…また赤くなった」

「ほんとだ。可愛い~」

顔を覗き込んでクスリと笑う奏斗さんに便乗してからかう増田さん


「もうッ!!増田さんまでからかわないで下さい!!」

完全に奏斗さんと増田さんのペースにのせられてしまい、


家に着くまでの間終始振り回されっぱなしで

ムキになった私のせめてもの抵抗は

口を開いて、反論するための言葉を紡ぎだすことだけだった







奏斗さんの笑い声と増田さんの少し調子はずれな鼻歌

私の事をからかって楽しむ二人


ムカつくけどなんだか楽しくて


もう少しここにいてもいいかな…なんて


悔しいけどちょっと思ってしまった







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