この腕の中で君を想う
「気が向いたら連絡して~。俺も暇な時に連絡するから♪」
「はい。あのっ…」
クルリと後ろに振り返って奏斗さんを見上げる
「………」
無表情で何考えているのか分かんない
やっぱり…怒ってるよね
自分から聞くのは不本意だけどしょうがない
私は深呼吸すると
「奏斗さんの…連絡先教えて下さ…ぃ」
恥ずかしくて語尾が小さくなってしまったが
奏斗さんの耳にはしっかり届いたようで
「え…ああ」
予想外の言葉に驚いて目を丸くする奏斗さん
なんだか歯切れの悪い返事が返ってきて駄目なのかな…って思ってたら、携帯を差し出してきたので
おずおずと手に取ると、ボタンを弄って早速赤外線で交換した
「………」
「………」
その間、奏斗さんは無表情でジッとこちらを見ていた
なに考えてるんだろ…
変に緊張するし
「…はい。終わりました」
奏斗さんの顔を見ないように下を俯いたまま携帯を押し付ける
理由は簡単
自分から聞いた事なくてかなり恥ずかしいんだって!!
「…じゃあ…失礼します!!」
携帯を鞄に押し込んで二人に頭を下げると
奏斗さんに背を向けて逃走した
はずだったんだけど
「…あ…れ?」
「おい…ちょっと待て」
一瞬のうちに首根っこを掴まれてしまい
学校へ向かうことは奇しくも叶わなかった