この腕の中で君を想う
学校へ向かう生徒達はチラチラと不審そうな目を向けては早歩きで横を通り過ぎていく
「…何ですか?」
動揺を隠すように不思議そうな顔で奏斗さんを見上げる
てか、はやく学校に行かせてι
「何って…忘れ物があるだろ?」
奏斗さんはパッと手を離すと、優しい笑みを浮かべる
あ…なんだ
私は少し安心して鞄を探ってみる
「忘れ物…忘れ物…」
忘れ物?
手帳は返してもらった
鞄も持ってる
教科書だって勿論あるし
他に忘れ物って…
「奏斗さん…忘れ物って…」
意味が分からず視線を奏斗さんへ向ければ、
「あるだろう?此処に」
私の髪から頬、唇に手を移動させ、なぞるように触れる
先程の優しい笑みは消え
いつか見た悪魔のような笑顔がそこにはあって
あ…ヤバい
慌てて逃げようと試みるが一歩遅く、肩を掴まれ近くの壁に押し付けられた