この腕の中で君を想う

思わぬ目撃者





聞き慣れた声


必死に思い出にしようと…友達に戻ろうと悩んだ相手だから

見なくても誰だか分かる


私はゆっくりと声のする方向へ顔を向けた



「冬…沢口くん」


震える声でその名を発する

目の前には目を見開いて動揺を隠せない冬夜が立っていた



「おい…佐藤さんを離せ」


冬夜は奏斗に視線を向けると、途端に目の色を変えた

声は怒気を帯びていて、私は身をすくめる


そんな怖い顔するんだ…


「…誰だ?お前」

そんな冬夜を物ともせず邪魔をされて不機嫌なのか目の前にいる人物を睨みつける


「佐藤さんの…友達だ。いいから離せ。嫌がってるだろ」


「友達?だとしたらお前には関係ない。子供はさっさと学校に行ったらどうだ?」

ハッと鼻であしらい、態と相手を挑発するような言葉を並べる

「関係ない訳がないだろ!!」


それが癪に触ったのか冬夜は眉を寄せて声を荒げた



「冬夜…」



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