この腕の中で君を想う
ここまで必死になってくれる冬夜に胸がいっぱいになった
冬夜の言葉が嬉しいけど…苦しい
どうしようもなく切なくなり思わず呼び慣れた名前を呟く
「…佐藤」
私の顔を見ていた冬夜は私が何を呟いたのか分かり、とても悲しそうな、辛そうな顔をした
なんで…またそんな顔するのよ
冬夜の顔を見ていられず、思わず目を伏せれば、奏斗は驚いたように目を見開く
「へぇ…コイツが」
何を思ったのか奏斗はチラッと私を見てニヤリと笑い
「お前…佐藤の元彼か?」
「…ッ!!お前に言う必要はない」
不意をつかれて目を丸くするが直ぐに奏斗に好戦的な目を向ける
「ふん…そうだな」
「…おい、おっさんいい加減にしろよ。離さないんだったら無理矢理でも俺が引き剥がしてやる!!」
「はぁ…どいつもこいつもガキは俺をおっさん呼ばわりしやがって」
今にも掴みかかってきそうな勢いの冬夜に
苛立ちが抑えきれず頭をガシガシ掻くと私を見て、冬夜に鋭い視線を送った
多分私の事も入ってたんだろうな…ι
「同意の上での行為だ。ガキが口出しするな」
「…どういう事だ」
「………」
冬夜は私に意見を求めているようだったが
同意はしてないが赤の他人ではない奏斗さんの前だったこともあり何も言えなかった
「分からないんならはっきり言ってやろうか?俺達の関係を」