この腕の中で君を想う
「かな…と…さん?」
やっと掠れた声で目の前にいる奴に話し掛ける
嫌な予感がした
嫌…
まだ冬夜には知って欲しくない
私から言うんだ
「奏斗さん…駄目…」
私は首を横に振って拒否の意を示す
だけど奏斗さんはただ笑みを浮かべているだけ
それも笑っているのか分からない…冷たい笑みで
「俺達は――――」
「~~っ!!」
その先を聞きたくなくて声にならない叫びをあげると、耳を塞いでその場にうずくまった
もう…終わり
友達にも戻れなくなる…
仕方ないんだよね、自業自得なんだから
視界の見えない中、私は力の限り目を瞑って覚悟を決めた
「……で、第三者である俺がバーン!!と格好いい台詞を言うと、俺の彼女役である眞理ちゃんが泣き崩れる!!
奏斗は成す術もなく渋々眞理ちゃんから離れて、俺がその隙に救出してハッピーエンド!!」
「……え?」
スローモーションのような動作で顔を上げる
そこには
「だよね?眞理ちゃん」
「増田…さん?」
車の中にいた筈の笑顔の増田さんがいた