この腕の中で君を想う
携帯電話の上にポタリ、ポタリと落ちる大粒の涙
メイクがぐちゃぐちゃになるのを承知で手で拭うがなかなか止まらず
それどころかより一層目から溢れ出す
「ハハッ…パンダ目になっちゃった」
笑って見るが、顔が引きつって上手く笑えない
呆気なく終わってしまった私の恋
付き合って今日でちょうど一年だった
思い出すのは全部良い思い出ばかり
余りにも多すぎて
幸せすぎて
それが
辛かった
「…今日は真沙美寝かさないんだから」
私は目を乱暴に擦ると、近くに停まっていた空車のタクシーに乗りこんで真沙美の家へ向かった