この腕の中で君を想う

クソ増田

 

ーーーーーーーーーーーーー……‥

-白山奏斗side-


佐藤が冬夜とかいう佐藤の元彼と手を繋いで逃げるように学校へ向かうのを壁に凭れてボーッと眺めていたら、突如頭上から拳が降ってきて

ゴンッ!!

ボーッとしていた俺は勿論避けきれる筈もなく見事脳天を直撃した

「い゙っ!!増田…てめぇ何しやがるッ!!」

余りの痛さに頭を押さえて体を丸めると鉄拳を食らわせた張本人をみるなり胸ぐらを掴んで怒りを露にする

学校の近くで人通りは多く、通行人は俺達のただならぬ様子に見てみぬふりをして去っていく

「怒りたいのはこっちだよ。何であんなことしちゃったの?俺がいたからまだ良かったものも…まさかあれも作戦だとかいわないよねぇ~?」

ヘラヘラ笑っているが、目は冷たくコイツも相当頭にキているようだ

「…別に、お前には関係ない」

「ハッ…大の大人が黙(ダンマ)りをきめこんで…あの冬夜くんの方がよっぽど大人だな!!」

「んだと…」

俺は感情のままに殴りたいと思ったがここが一目につく場所だと今更ながら気付き、チッと舌打ちして増田から手を離した


「奏ちゃんにしては賢明な判断だね」

「そんなに殴られたいのかお前は」

「殴りたいのはこっちだよ。俺は菜月ちゃんを好きにさせるっていう奏ちゃんの作戦には乗ったけどを菜月ちゃん悲しませる為に手を貸した訳じゃない」

笑顔が消え、増田は無表情で沸き上がる感情を抑えるように淡々と口を開く

「………」

「少しはそこで頭冷やしたら?俺はもう仕事行くから。奏ちゃんは今日出勤遅いんだしタクシーでもなんでも乗ってのんびり来なよ」

そう言うと増田は自分の車に乗るとすぐさま発車させた








「あ、これ忘れ物」

少し走ったところで、思い出したかのようにそう言ってフロントガラスを少し開けると少しだけ手を出す



おい…

その手に持ってるのって



ボトンッ




あろうことか俺の鞄を道路のど真ん中に捨て、

そして何事もなかったかのように颯爽と走り去っていった






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