この腕の中で君を想う
「はッ!?おい…嘘だろ」
あの中には大事な書類とか入って……
怒りの前に仕事の事が頭をよぎり、それは直ぐに行動に出た
慌てて立ち上がって鞄のある場所の目の前まで行くと、車が走り交わる間を途中クラクションを鳴らされながらも何とかくぐり抜け、鞄を拾う
「…最悪だ」
あの車の混み具合からして何となく悪い予感はしていたが、案の定鞄は多少なりとも車に轢かれていてタイヤの跡がくっきり残っている
「中身は」
鞄より中身が無事か気になり徐に鞄の金具を外し、中を確認した
カチャッ
ビヨーン
「………」
何故か鞄を開いたらピエロのような人形が舌を出して飛び出してきた
まさか…
「……入ってない」
人形を投げ捨て、中を漁るが鞄の中には書類はなく代わりに紙切れが一枚
そこには増田の字で
"ビックリした?俺が会社の書類まで捨てると思ってた?馬鹿だねぇ~俺も会社の人間だからそれくらい分かってるからー(^o^)奏ちゃんの大事な書類は俺が責任持ってちゃんと会社に持って行っとくね☆
追伸
もう分かってると思うけどその鞄は奏ちゃんの鞄じゃないよ♪"
「…んの、クソ増田ぁぁぁぁ!!」