この腕の中で君を想う
「……え?」
思わず顔をあげて声の主を見ればふわりと笑いコーヒーを一杯差し出された
「はい、茅野(カヤ)特製モカ・ジャバ。まぁ、最近ではカフェ・モカっていうのかな?」
ホイップクリームの上に削ったチョコレートがふりかかったソレは俺が思っていた珈琲とは少し違っていたが、とりあえずカップに口を付けて一口飲む
「…美味しい」
クリームとチョコは勿論、コーヒーの中に入ったチョコレートシロップとミルクが口に広がるがそれほど甘くなく、余り甘いものが好きじゃない俺でも飲める程よい甘さだった
「良かった♪なんとなく甘いもの好きそうには見えなかったからブラックチョコにしてシロップとミルクは控えめにしといたのよ」
「へぇ…一瞬でそんなことが分かるんですか、ここのオーナーさんは凄いですね」
「ハハッ…"オーナーさん"っていうのはやめてよ"茅野さん"で良いわよ」
本当に嬉しそうに笑う茅野さんに俺もつられて笑みがこぼれた