この腕の中で君を想う


コンコンとノックしてからガチャリ…とドアノブを開けて中に入る

「…入るよ?」

応答は無いので恐る恐る足を踏み入れる

黒で統一されたシンプルな部屋

真ん中に置かれた透明な机に、冬夜のお母さんに渡された諸々を置いた


ふと、目に入った本棚にはバスケの雑誌が沢山入ってあって

相変わらずバスケ馬鹿…ってクスリと笑った



付き合う前から、私と冬夜はよくバスケで遊んでた

私が昔やってたのもあったから何となくバスケをすすめてみたら見事にハマって
、すぐさま冬夜はバスケ部に入って今に至るというわけだ

「…冬夜」

ベッドでやや荒い息遣いで眠っている冬夜

…苦しそう

私は冬夜のすぐそばまで来て座り、額にあったタオルをそっと外すと

持ってきた新しいタオルを絞り、起こさないよう慎重にそれを乗せた

「……ん」

冬夜は僅かに身じろぎ、うっすらと目を開けた

「……眞理?」

まだ熱もあるせいか虚ろな目で私を捕らえる

「…そんな訳ないか…もう別れたんだ…来るわけない」

「…冬夜」

どうしようもない思いにキュウッと胸が締め付けられた



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