この腕の中で君を想う



冬夜ははぁ…と熱い息を吐き出しながら私の頬へ手を滑らせる

「なぁ…どうしてあいつなんだよ…」

「………ッ」

なんで冬夜がそんなに辛そうな顔をするの?

私達はもう終わったんだよ…冬夜が振ったんだよ…

冬夜の手の上からそっと自分の手を添えてキュッと握る

「あんな奴にとられるくらいなら…離すんじゃなかった」

はっと自嘲気味に笑い、頬にあった手をだらりとおろして片手で顔を覆うと




「…俺はまた、守れないのか」


その声は微かに震えていた


「……え」

また…?


「どういうこと…」


その言葉は、冬夜に届くことはなく…

静かに目を閉じて眠る目の前の幼馴染をただ見つめる事しか出来なかった



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