この腕の中で君を想う
遠い日の記憶-沢口冬夜side-
-沢口冬夜side-
俺は夢を見ていた
俺が初めて眞理とバスケを始めた日
中学生の頃だった
その時眞理はまだ部活でバスケをやっていて、俺は軽い気持ちで公園にある広いバスケコートで一緒にボールで遊んだ
眞理は本当に上手くて、なかなかボールが取れない
やっととれたかと思えばすぐにカットされて綺麗なフォームで眞理の放ったボールは吸い込まれるように小さな輪の中を通り抜けた
「…はぁ…ちょっとは…初心者を労わってくれないかな…」
「あー…ゴメンね!つい、楽しくなっちゃって」
息を切らしている俺に涼しげな顔で笑う眞理
…その眩しいくらいの笑顔にどうしようもなく心惹かれた
「俺も…バスケやろうかな」
「本当⁉じゃあまた一緒に練習出来るね♪」
本当に嬉しそうに笑う彼女
俺は…その笑顔を見たくてバスケを始めたんだ