この腕の中で君を想う



俺は戸惑いながらも徐に手を差し出すと、眞理の白い手が上に乗る

そっと手を広げてやがて離れる

手に乗せられたのはフェルトで作った小さなお守り

バスケットボールの絵の中に俺の番号、裏には名前

「…インターハイ…頑張って…私の分まで」

大丈夫…冬夜なら絶対に日本一になれる


そういって目に涙を溜めて満面の笑みを浮かべる眞理

「……ああ…絶対一番になるよ」

俺は強くお守りを握りしめて声を殺して泣いた

眞理も我慢して我慢して…我慢したけど涙を堪えきれず

堰を切ったように俺と一緒に泣き出した


本当は悔しい…でも、もうどうにもならないと嗚咽混じりに小さく呟いた

それを聞いた俺はただゴメン…ゴメンとしか言えなかった



…あの時、電話に出ていたら

こんな事にはならなかったのかと

後悔せずにはいられなかった



この時、俺は思ったんだ


二度と眞理を傷付けない

絶対に守るんだと


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