この腕の中で君を想う



ほんの数分前



電車を一本遅らせたせいで

いつもはゆったりと座れる電車なのに

大嫌いな満員電車に乗り込む羽目になってしまい


仕方なく人と人との僅かな隙間を無理矢理くぐって、最初に目に飛び込んできた吊革を握り締めた



と同時に電車が動き出す


かなり狭いがとりあえずホッとひと息ついて前を向けば



「……冬夜?」




今に至る訳だ




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