この腕の中で君を想う
シュッ…
スパンッ…
シュッ…
スパンッ…
シュッ…
ガコンッ…
「あっ…」
何度目かのシュートで、ボールが枠に当たり
コロコロと遠くへ転がっていった
段々遠ざかってゆくボール
それが、
私と冬夜との距離のようで悲しかった
「…帰ろう」
結局
気を紛らわせるどころか余計に気落ちしてしまい
さっきより重量感のある扉を押し開けると
近くに放っていた鞄を手にとり、夕闇の中へ消えていった