この腕の中で君を想う



数分後、運良く入り口付近の一番端を見付けることができて思わず心の中でガッツポーズ


他の人に取られないようにそそくさと座った






ピー------


甲高い笛の音が鳴るのと同時に電車はゆっくりと動き始める


それを確認すると、私はポケットからiPo●を取り出して耳にイヤホンを付けた

適当に明るい曲を選択し、決定ボタンを押す


ポップな曲が頭を駆け巡り、幾分か気が紛れた

心地よい音楽に誘われるように備え付けられてある銀色の手すりにもたれ掛かると目を瞑り、夢の世界へ引き込まれていった







このとき

すでにカウントダウンは始まっていた



悪魔と出会うまで


あと一時間


刻一刻とあの忌々しい奴に再会するその時が迫ろうとしていた



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