この腕の中で君を想う



「自分のペース…って本当は自分の仕事能力に自信が無いからみんなが帰った後に仕事をするんですか?」

「…んなわけ無いだろうが」



指で机をしきりにトントンさせながら苛々を募らせていく


「じゃあみんなが帰るまでに仕事終わらせて下さいよ」


極めつけに挑発ともいえるこの言葉に俺は思わず

「あー分かったよ!!定時で終わらせる。それでいいだろ?」


俺を甘く見んなよ

最高の作り笑いを浮かべると、再び書類に目を向けた


「…その言葉忘れないで下さいね」



堅物女は一瞬目を見開いたと思えばすぐに満面の笑みを浮かべて一礼すると、自分の席へ戻っていった






「…しまった」


余りに単純な自分の思考回路に思わず頭を抱えた

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