この腕の中で君を想う
「約束通り定時に済ませた。何か問題でもあるか?」
何はともあれコイツに勝ったのは間違いないことだ
ニヤリと勝ち誇った笑みを浮かべて奴を見ると
「いえ…でも、まさか本当に終わるとは思いませんでした」
堅物女はつり上がった目を細めて肩に掛けている白のショルダーバッグを掛け直した
かなり動揺してるな…
「俺を甘くみるな。生憎仕事はここにいる誰よりもできる自信がある。勿論立花(タチバナ)、お前にも負けない」
机に肘をついて手を組むと、更に追い打ちをかけるように「俺に何か言うことは?」って言いながら立花にニッコリ笑いかければ
「……ッ」
立花はキュッと唇を噛み締めて、渋々頭を下げる
「白山課長に対し…失言したことを深くお詫び申し上げます」
立花にとって屈辱的なこの行為は俺にとって優越感でしかない
「まぁ…今回は許してやる。だからもう帰れ」
「…言われなくとも帰ります」
俺の偉そうな態度が癪に触ったのか立花は顔をひきつらせる
「失礼します!!」
一礼してくるりと反転すると、勢いよくドアを閉めて出て行った