この腕の中で君を想う
――――――――…‥
コンコン
「どうぞ」
「失礼します」
ドアを開けて、目的の人物が居るのを確認すると軽く一礼して、中へ足を踏み入れた
高級感漂う広々とした室内
机や椅子は勿論テレビ、キッチン、ソファー、しまいにはバスルームまでついているのだから驚きだ
毎回無駄に広いこの部屋を訪れる度嫌気がさしている
「…用件は?」
俺の顔一つ見ようとせず大きな机の上で小型パソコンの画面と睨めっこしながら口を開く
「明日のプレゼンの大まかな内容を表記したもの、頼まれていた他社製品の調査結果と今後の対策、あと……」
気にせず俺はスラスラと頼まれていた膨大な仕事の内容を読み上げていく
この前聞いていないと思って試しに省いて話したら、もの凄い剣幕で怒られて
それ以来、多少時間が掛かってでも一言一句漏らさず言うようにしている
「………以上です」