ストーカークラブ
 美奈子、順、白石さんの三人とは大学の実習グループになってから、こうして大学以外でも時々会う様になった。もしこの三人と同じグループにならなければ、決して話す機会もなかっただろう。同じ教室に居ても、名前すら知らないほどだった。それほどこの三人は、存在感が薄かったのかもしれない。

 話す様になってからも、始めは信太と笑う所も違い、マニアックなアニメやアイドルの会話をする三人に嫌悪感すら感じていたが、それでも卒業までは同じグループなので、平和主義の信太は、彼等に付き合っている。

 大学の場所が俺の地元にある事も手伝って、こうして大学以外でも時々集まりに参加をしているのだ。

 美奈子と付き合う様になった主な理由は、美奈子からの猛アタックがあり、卒業を前に気まずくなるのを避けたかったからである。それに丁度この頃、信太は彼女と別れたばかりで、フリーだったのが重なった事も理由の一つだ。


「ねぇねぇ、信太〜。昨日の夜、電話もメールもしたのに、返事なかったけど何処か行ってた? それとも寝てた?」


「そうだよ信太、俺も昨日の夜、電話したけど出ないから、今日理由聞きたかったんだよ」


 美奈子に続いて順も質問責めだ。
 だいたい二人が電話やメールをしてきた時間は夜中もいいとこじゃないか。普通寝てるだろうが。そう思ったが、信太はやんわりと一言返した。


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